降圧薬ではないカルシウム拮抗薬  ベラパミル(先発品 ワソラン)

 心臓は筋肉で出来ており、体中に血液を送り出すポンプの役割をしています。

 心臓の筋肉にもカルシウムが入る入口があって、その部分をブロック(拮抗)すると脈が遅くなったり、心臓が収縮する力が弱くなります。(陰性変時作用・陰性変力作用といいます)

 前回説明したジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬はこの心臓の筋肉に対する作用が弱く、それ以外の血管を開くことによる反射(血圧が下がることに対する代償機能)で脈が逆に速くなることがあります。

ベラパミル(ワソラン)

 この脈を遅くする効果を期待して使うカルシウム拮抗薬がベラパミルという薬です。脈が速い不整脈を抑えるときなどに使うことが多いです。

 上の写真にもあるように黄色い錠剤です。

 さてここで以前岩岡が実際に経験した症例のお話です。


 救急外来で心不全の状態を薬などを使って安静にさせつつ詳しく問診をしました。(研修医の先生たちは話をちゃんと聞いたり身体所見を十分とらずにとりあえず検査をしてしまうことが多いですが、問診・身体所見をしっかりとることは重要です)
話を聞いていくとどうやら家族にもらった便秘薬(だと言われているもの)を数日前から飲み始めたら具合が悪くなったとのこと。というわけで実際に飲んでいた薬を確認しました。
                                                        
                                                        
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 脈を遅くするカルシウム拮抗薬を元々脈を遅くする作用がある薬に加えて飲んでいたために脈が遅くなりすぎて心不全になっていたのです
 この方は追加の薬をやめることで心不全は改善しました。またその後も再度症状が悪化することなく経過しました。

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