アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の使い分け
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
後に出てくるACE阻害薬より降圧効果は強いものが多いです。
薬価が高いのが難点でしたが、ジェネリックが出てきたので大分解消しました。
オルメサルタン(オルメテック)
2004年に発売され使ったときに、今までのARB(ニューロタン・ブロプレス・ディオバン)より良く下がると衝撃を受けました。
当初は10㎎錠と20㎎錠のみ販売でしたが、10㎎でも下がりすぎる人が多かったためか2006年に5㎎錠が販売されています。
良い薬ですが他のARBと違い、降圧薬として優等生なアムロジピンとの合剤はありません。(一緒に入っているカルシウム拮抗薬はアゼルニジピン・カルブロックです)
アジルサルタン(アジルバ)
2020年9月現在、後発品(ジェネリック)はまだ発売されていません。
ロサルタン(ニューロタン)
降圧薬として考えると他のARBと比べてちょっと残念な降圧効果です。(ACE阻害薬と同じくらいの降圧効果)
ただ血圧が下げる効果が弱いと心不全の人にも薬を導入しやすいため、一定頻度で循環器内科医によって使われ続けている薬剤でもあります。
蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症にも適応があります。
ロサルタン独自の作用として、尿酸低下作用があります(尿酸をおしっこに排泄する効果による)。
尿酸と血圧がともに少し高い人には第一選択で使っています。(1つの薬で済むため)
なおサイアザイド系利尿剤と併用するとしっかり降圧効果を示します。
他のARB
テルミサルタンはオルメサルタンと同じ位血圧が下がる効果がありそうですが、肝機能障害を来す人をちょいちょい見ます。
イルベサルタンは他のARBと違い、アムロジピン10㎎との合剤が販売されています。ただこのアムロジピン10㎎との合剤の影響で下肢にむくみが出た人は複数診察した経験があります。
イルベサルタンに関しては個人的に単剤で新規で処方したことがないので、降圧効果のイメージが全くありません。
ディオバン事件
慈恵医科大学・京都府立医科大学・千葉大学・滋賀医科大学・名古屋大学で行われた5つの臨床試験で、製薬会社ノバルティスファーマ社の総額11億3,000万円にのぼる経済的支援により行われました。その中でデータ改ざん等が行われた事件です。簡単にいうと他の薬よりディオバンが良いよというデータを無理やり作ってしまったのです。
先発品としては他のARBより安くそれなりに血圧も下げてくれる薬で決して悪い薬ではありません。今もバルサルタンで安定している人は、無理に処方変更することなく継続しています。
ただいかんせんイメージが悪くなりすぎてしまい、多数の病院で採用中止となってしまいました。
2020年8月に新しく心不全の薬として、バルサルタンと他の薬(サクビトリル)がくっついたものが販売されました。理論的には非常に良さそうですが、実臨床でどうかは経過を診ていかないとわかりません。恐らくしばらくは大きな病院に通院している人が切り替えて使用する程度だと思います。
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