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医者は(だいたい)字が汚い。

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医者が書くカルテの字は読めないことが多い  今でこそ電子カルテが多くなりましたが、自分が医者になったころは世の中ほぼ紙カルテでした。救急外来などで大量の患者さんの見る場合など時間がない場合には走り書きのカルテをかくことがほとんどで、 他人のカルテだけでなく自分の書いたカルテも「なんて読むんだろう」と前後から類推して読むことがありました 。  字が汚くてもまあなんとかなっていたのですが、 ① 健診結果の説明やちょっとした病状説明で手書きで説明する機会が増えたこと ② 自分の子供の字も汚いが、どこを気をつければきれいな字になるか教えられないこと より やはりきれいな字を書く練習が自分にも必要 だと考えるようになりました。   美文字?  インターネットで文字の書き方を調べると、美文字など色々出てきます。ただ美文字として紹介されている字も個性が有りすぎて「本当にきれいな文字?」と思うものもたくさんありました。amazonで文字の練習用の本をいくつか見てみましたが、それぞれ著者の個性が出ていてやり続けるとイライラしそうな気がしました。 100円ショップで練習帳を購入  100円ショップにも文字の練習帳が売っているとインターネットに記載があったため、赤羽のダイソーで自分用と小学生の子供用の2冊を買ってきました。  消せるボールペンで何度も書き直ししながら、ひらがな・カタカナを練習中です。 ひらがなの書き順  ひらがなの練習をしていて気がついたのですが、間違った書き順で覚えていたひらがなが2つありました。(43歳にして気づくのもどうかという話がありますが)  まず「も」の一画目  左と右どちらか正しいとおもいますか?   自分は横棒から書くと思っていましたが、間違いでした 。(カタカナのモは横棒から最初に書くのですが…)  次は「や」の二画目  左と右どちらか正しいとおもいますか?    正解は右ですが、自分は左で書いてました。  なおこの2つとも、小学1年生のホームページ(小学館)に間違えやすい字として紹介されていました。 カタカナの書き順  カタカナも書き順・書き方を間違えて覚えている字がありました。  まずは「ヒ」  ヒの一画目。左から右に書くのと、右から左に書くのどちらが正しいと思いますか?      正解は左から右に書くのが正しいのですが、逆に書いていました。  続い

ACE阻害薬について

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 ACE阻害薬  上にも書いてあるように、(少なくとも日本での投与量では)降圧効果が弱い印象です。海外では日本の投与量の2−4倍で使っている様です。ただ心不全で血圧があまり高くない場合には、この降圧する力が弱いほうがかえって投与しやすいというメリットにもなります。 なんで血圧も高くないのに降圧薬を入れるだと思われるかもしれませんが、心不全の人にはACE阻害薬を入れたほうが状態がよくなるからです (これは研究上だけでなく実際の臨床で感じています)。また最近は診察する機会がなかったのですが、ネフローゼ症候群といって尿に蛋白がたくさん出てしまう病気の人にACE阻害薬を導入すると明らかに改善してきます(ガイドライン上は高血圧を有する場合と前提条件が付きます。)。  ACE阻害薬のメリットとして薬価が安いことがあげられていましたが…  前回提示したARBに降圧品(ジェネリック)が大量に出たため、値段においてはほぼ差がなくなってきました。  処方するにあたって一番困るのは空咳の副作用。  報告により頻度はまちまちですが、投与すると喉の違和感・空咳を訴えるかたが無視できないくらいいます。使い続けるとよくなる場合もありますが、空咳が原因で続けられないという方が多くいます。入院中や病院での外来ではまだ対応しやすいのですが、クリニックではこの副作用を考えると(特に降圧薬主体で考えると)どうしても導入に二の足を踏んでしまいます。  副作用の原因物質が誤嚥性肺炎予防に有効?。  サブスタンスPという神経に作用する物質が少なくなると、ちゃんと飲み込む機能や異物を飲み込んだときの咳反射が弱くなります。ACE阻害薬はこのサブスタンスPの分解を抑制することがわかっています。またACE阻害薬はブラジキニンという咳の原因となる物質の分解も抑制します(ブラジキニン自体もサブスタンスPを増やす効果があるようです)。  脳梗塞などで脳に障害をきたすとドパミンという物質が減って、結果サブスタンスPが少なくなるようです(細かい機序は割愛します)。サブスタンスPが少なくなると気づかないうちに唾液や食べ物をまちがって気道(空気の通り道)に飲み込んでしましい、結果肺炎を来してしまします。じゃあACE阻害薬でサブスタンスPを増やせば誤嚥性肺炎が減るんじゃないのかと研究した人たちがいて、ACE阻害薬を飲んでいるほうが肺炎

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の使い分け

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アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)  後に出てくるACE阻害薬より降圧効果は強いものが多いです。  薬価が高いのが難点でしたが、ジェネリックが出てきたので大分解消しました 。 オルメサルタン(オルメテック)  2004年に発売され使ったときに、今までのARB(ニューロタン・ブロプレス・ディオバン)より良く下がると衝撃を受けました。  当初は10㎎錠と20㎎錠のみ販売でしたが、10㎎でも下がりすぎる人が多かったためか2006年に5㎎錠が販売されています。  良い薬ですが他のARBと違い、 降圧薬として優等生なアムロジピンとの合剤はありません 。(一緒に入っているカルシウム拮抗薬はアゼルニジピン・カルブロックです) アジルサルタン(アジルバ)  カンデサルタン(ブロプレス)というARBより血圧を下げる効果が強い(統計学的な有意差がある)ため、薬価に有用性加算が付いた薬剤です(国がちょっと高く値段付けしているということ)。ちなみにアジルバ・ブロプレスともに武田製薬の薬です。  2020年9月現在、後発品(ジェネリック)はまだ発売されていません 。 ロサルタン(ニューロタン)  降圧薬として考えると他のARBと比べてちょっと残念な降圧効果です。(ACE阻害薬と同じくらいの降圧効果)  ただ血圧が下げる効果が弱いと心不全の人にも薬を導入しやすいため、一定頻度で循環器内科医によって使われ続けている薬剤でもあります。  蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症にも適応があります。  ロサルタン独自の作用として、 尿酸低下作用があります (尿酸をおしっこに排泄する効果による)。  尿酸と血圧がともに少し高い人には第一選択で使っています 。(1つの薬で済むため)  なおサイアザイド系利尿剤と併用するとしっかり降圧効果を示します。 他のARB  他にはARBとして上記があります。ただ個人的には新規で出すことはほとんどありません。 テルミサルタンはオルメサルタンと同じ位血圧が下がる効果がありそうですが、肝機能障害を来す人をちょいちょい見ます。  イルベサルタンは他のARBと違い、アムロジピン10㎎との合剤が販売されています。ただこのアムロジピン10㎎との合剤の影響で下肢にむくみが出た人は複数診察した経験があります。  イルベサルタンに関しては個人的に単剤で新規で処方したことがない

降圧薬ではないカルシウム拮抗薬  ベラパミル(先発品 ワソラン)

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 心臓は筋肉で出来ており、体中に血液を送り出すポンプの役割をしています。  心臓の筋肉にもカルシウムが入る入口があって、その部分をブロック(拮抗)すると脈が遅くなったり、心臓が収縮する力が弱くなります。(陰性変時作用・陰性変力作用といいます)  前回説明したジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬はこの心臓の筋肉に対する作用が弱く、それ以外の血管を開くことによる反射(血圧が下がることに対する代償機能)で脈が逆に速くなることがあります。 ベラパミル(ワソラン)  この脈を遅くする効果を期待して使うカルシウム拮抗薬がベラパミルという薬です。脈が速い不整脈を抑えるときなどに使うことが多いです。  上の写真にもあるように黄色い錠剤です。  さてここで以前岩岡が実際に経験した症例のお話です。  救急外来で心不全の状態を薬などを使って安静にさせつつ 詳しく問診をしました 。(研修医の先生たちは話をちゃんと聞いたり身体所見を十分とらずにとりあえず検査をしてしまうことが多いですが、問診・身体所見をしっかりとることは重要です) 話を聞いていくとどうやら 家族にもらった便秘薬 (だと言われているもの)を数日前から飲み始めたら具合が悪くなったとのこと。というわけで実際に飲んでいた薬を確認しました。                                                                       ↓                                                                       ↓                                                                       ↓                                                                         ↓                                                                       ↓   脈を遅くするカルシウム拮抗薬を元々脈を遅くする作用がある薬に加えて飲んでいたために脈が遅くなりすぎて心不全になっていたのです 。  この方は追加の薬をやめることで心不全は改善しました