血圧を下げる薬(降圧薬) 医者はどんなふうに薬を選んでいるか
ただ「血圧は下げるけれど長生きには関与しない」、「血圧を下げる良い効果より副作用のほうが問題」、といった薬が選ばれても困ってしまいます。
高血圧治療ガイドラインでは、特別な理由がない限り最初に投与すべき薬(第一選択薬)は上の薬から選びましょうとなっています。(どの薬も良いよっていうデータが揃っている)
降圧薬としてのカルシウム拮抗薬の使い分けについては後日別で説明します。(カルシウム拮抗薬として大きく分けて3種類あるのですが、特に研修医は学生時代に暗記した知識の影響でかえってその種類のなかでの差がわかっていないことも多いです。)
どちらの薬もレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系というホルモンの流れに作用する薬です。
細かい説明は省きますがレニン→アンギオテンシンⅠ→アンギオテンシンⅡ→アルドステロンというホルモンの流れが頑張ってしまうと血管を収縮させたり、尿からナトリウムをたくさん回収することで血圧が高くなります。
ACE阻害薬のほうが古くからある薬で、心不全治療にはなくてはならない薬です。ARBと比べて値段が安いというメリットもあります。
ただARBより血圧を下げる効果がやや弱い(ガイドラインにも似たような記載あり・海外での使用量に比べて少ないだけかもしれません)、空咳の副作用で使い続けられないひとが一定数いる、といったデメリットがあります。今のご時世、咳をしていると周りの人からの視線が怖い…。
ARBには空咳の副作用は有りません。
どちらの薬も心臓や腎臓を守ってあげる作用がありますが、特に投与初期などに腎臓の値が急に悪くなったりカリウムというミネラルが高くなりすぎることがあるので、適宜血液検査で副作用チェックをしていく必要があります。
利尿剤にもいろんな種類がありますが、基本的にはサイアザイド系という薬が高血圧治療で使われます。
副作用対策で添付文書(薬の説明書)にかかれている量よりも少ない量で処方されることが多いです。
薬の作用としてカリウムを下げる効果あります(副作用として問題になることも)。ARB・ACE阻害薬の副作用と逆になるので、併用することも多いです。(ARBと利尿剤が最初から合体して1つになった薬も複数発売されています)
β遮断薬・α遮断薬ともに、いわゆるアドレナリンという体をがんばれがんばれと刺激する(戦闘状態にする)ホルモンも働きを抑える薬です。
β遮断薬は心不全や狭心症・心筋梗塞治療で無くてはならない薬です。
2014年の高血圧治療ガイドラインでβ遮断薬が第一選択薬から外されてしまいましたが、2019年のガイドラインでは条件付きで第一選択薬として復活しました。
それぞれの系統の薬剤の中での(岩岡による)使い分けを、次回以降説明していこうと考えています。
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